No.026 Recipe
エチオピア・イェルガチェフェの淹れ方を見直す ─ 店の「紅茶みたいな味」が家で再現できなかった話
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エチオピア・イェルガチェフェの紅茶のような味わいを自宅で再現しようとして気づいた、湯温・挽き目・注湯タイミングの見直しポイントをまとめました。
エチオピア・イェルガチェフェの紅茶のような味わいを自宅で再現しようとして気づいた、湯温・挽き目・注湯タイミングの見直しポイントをまとめました。
はじめに
コーヒーを飲んでいて「これ、本当にコーヒーなのだろうか」と思ったことはあるでしょうか。
先日、店でエチオピア・イェルガチェフェを試飲しました。 飲んでみて驚いたのは、苦味がほとんどなかったことです。
むしろ感じたのは、紅茶のような軽さと、華やかな香りでした。 普段飲んでいるコーヒーとはかなり印象が違っていて、「これは家でも飲みたい」と思い、そのまま豆を購入しました。
ところが、自宅で淹れてみると何かが違います。 まずいわけではありません。 強い苦味が出ているわけでもありません。
ただ、店で感じたあのフルーティーさや紅茶のような印象が出てこないのです。 同じ豆なのに、なぜこんなに違うのでしょうか。
この記事では、エチオピア・イェルガチェフェを自宅で淹れてみて気づいたことを整理します。
同じイェルガチェフェの豆なら、同じ味になると思っていた
購入した豆はエチオピアのイェルガチェフェです。 精製方法はウォッシュド(果肉を水で洗い流してから乾燥させる方法)で、焙煎度は浅煎り(焙煎時間が短く、酸味や香りが残りやすい焙煎度)でした。
ウォッシュドは雑味が少なく、すっきりした味になりやすい精製方法です。 精製方法ごとの違いはコーヒー豆の精製方法とは?ウォッシュド・ナチュラル・ハニープロセスの違いと味の特徴で詳しく解説しています。
イェルガチェフェといえば、一般的に花のような香りや柑橘、紅茶を思わせるような軽やかな味わいが特徴として挙げられます。 店で飲んだときも、まさにそんな印象でした。
そこで自宅でも、いつも通りハンドドリップしてみました。 条件は以下の通りです。
- 湯温は90℃
- 挽き目は中粗挽き(中挽きより少し粗い挽き目)
- ハンドドリップで抽出
極端に高温でもありませんし、細挽きにして苦味を出しているわけでもありません。 それでも、店で飲んだ味にはなりませんでした。
ここで気づいたのが「苦くないこと」と「フルーティーに抽出できていること」は別の話だということです。
問題は「苦味」ではなかった
最初は「抽出しすぎて苦くなっているのでは」と考えました。 しかし実際に飲んでみると、そこまで苦いわけではありません。
足りないのは、店で感じた華やかな香りや紅茶のような軽さでした。
つまり今回考えるべきだったのは「どうすれば苦味を減らせるか」ではなく「どうすれば、その豆が持っている香りや果実感を引き出せるか」でした。
ここを勘違いすると、湯温をさらに下げたり挽き目をさらに粗くしたりしてしまいます。 すると今度は抽出不足(コーヒーの成分が十分に溶け出していない状態)になり、ますます味が平坦になる可能性があります。
90℃から、あえて温度を上げてみる
今回、最初に試してみたいと思ったのが湯温です。 普段は90℃で淹れていました。
90℃というと、決して高すぎる温度ではありません。 むしろ「苦味を出したくないなら少し温度を下げる」というイメージを持っていました。
ところが今回のような浅煎りの豆では、温度が低すぎると十分に成分を抽出できず、華やかな香りや酸味まで弱くなってしまうことがあります。
そこで、まずは92〜93℃程度まで上げて試してみます。 温度を上げるというと「苦くなりそう」というイメージがありますが、必ずしも「高温=苦い」ではありません。 挽き目や抽出時間との組み合わせで決まります。
今回のように苦味はそこまでないのに香りが弱く味が平坦に感じるのであれば、むしろ少し抽出を強めた方がよい可能性があります。
温度を変えて比べるときは、温度計で湯温を確かめてから注ぐと条件をそろえやすくなります。 注ぐ量や速さを安定させるには、ドリップポットがあると便利です。
中粗挽きも、少しだけ細かくする
もう一つ見直したいのが挽き目でした。 私は普段、中粗挽きで淹れています。
ただし「中粗挽き」という表現はかなり曖昧です。 ミルによっても違いますし、同じミルでも目盛り一つで抽出のされ方は変わります。
今回のように風味が十分に出ていない場合は、少しだけ細かくしてみます。 一気に細挽きにするのではなく、まずは一段階だけ変えるのがポイントです。
コーヒーを淹れるときは、複数の条件を同時に変えてしまうと何が味に影響したのか分からなくなります。 なので次の順番で一つずつ試す方が再現しやすいと感じました。
- まず湯温を90℃から92℃へ
- それでも弱ければ挽き目を少し細かく
- さらに注ぎ方を調整する
「40秒蒸らす」の意味も勘違いしていた
そして今回改めて確認して気づいたのが、抽出レシピに書かれている時間の読み方です。
たとえば「40秒蒸らす」と書いてあった場合、私は一瞬「蒸らしのお湯を注ぎ切ってから40秒待つのか」と疑問に思いました。
しかし基本的には、タイマーをスタートして最初のお湯を注ぎ始めた時点から40秒です。
- 0:00 蒸らしのお湯を注ぎ始める
- 0:08 40gまで注ぎ終える
- 0:40 2投目を開始
つまり、注ぎ終えてからさらに40秒待つわけではありません。 この違いだけでも、抽出全体の時間はかなり変わります。
2投目以降の時間も「開始時刻」
同じように迷ったのが2投目(2回目に注ぐお湯)以降です。
たとえば次のレシピがあった場合を考えます。
- 0:40 120g
- 1:10 190g
- 1:40 250g
「0:40までずっと注いで120gにするのか」「0:40になったら注ぎ始めるのか」という疑問が出てきますが、基本的には後者です。
イメージとしては次のような流れになります。
- 0:00〜0:08 40gまで注ぐ
- 0:08〜0:40 待つ
- 0:40〜0:55 120gまで注ぐ
- 0:55〜1:10 待つ
- 1:10〜1:25 190gまで注ぐ
- 1:25〜1:40 待つ
- 1:40〜1:55 250gまで注ぐ
次の時刻まで無理に注ぎ続ける必要はありません。 レシピに書かれている時間は「そのお湯を注ぎ始めるタイミング」と考えると分かりやすくなります。
抽出時間の管理には、粉量とお湯の量を同時に測れるスケールがあると便利です。
今回試してみたいレシピ
ここまでを踏まえて、次は以下の条件で試してみようと思います。
- コーヒー豆:15g
- お湯:250g
- 湯温:92℃
- 挽き目:中粗挽きより少し細かめ
- 抽出時間:2分30秒〜3分程度
注ぎ方は以下の通りです。
- 0:00 40gまで注ぐ
- 0:40 120gまで注ぐ
- 1:10 190gまで注ぐ
- 1:40 250gまで注ぐ
一投ごとに10〜15秒程度で目標量まで注ぎ、その後は次に注ぎ始める時刻まで待ちます。 まずはこのレシピを基準にして、味の変化を見ていきます。
湯温と蒸らし時間の基本についてはハンドドリップのお湯の温度と蒸らし時間|初心者が知っておくべき基本、エチオピアのコーヒーに初めて出会ったときの体験はエチオピアのコーヒーを初めて飲んで、コーヒーの概念が変わった話でも紹介しています。
まとめ:コーヒーは「レシピ通り」だけでは再現できない
今回面白かったのは、同じ豆を買っただけでは店の味はそのまま再現できないということでした。
店で飲んだコーヒーがおいしかったから同じ豆を買う。 ここまでは簡単です。
しかしそこから先には、湯温・挽き目・粉とお湯の比率・蒸らし・注ぐ回数・注ぐ速度・抽出時間など、さまざまな条件があります。 しかも味を見ながらそれらを少しずつ調整していく必要があります。
今回の失敗から学んだのは「おいしくない原因を決めつけないこと」でした。
苦味が嫌だから温度を下げる、酸味が欲しいから粗くする、といった単純な話ではありません。 自分が飲んだときに「何が強いのか」「何が足りないのか」を考えて、一つずつ条件を変えていく。
ハンドドリップはそうやって自分の好きな味を探していくものなのかもしれません。
店で飲んだ、あの紅茶のようなイェルガチェフェ。 92℃のレシピはこれから試すところで、まだ再現はできていません。 だからこそ、次に淹れる一杯でどこまで近づけるか、少し楽しみになっています。
味は、色になる。
飲んだコーヒーの味が、その豆だけの色になる。探して、飲んで、記録する図鑑アプリ。
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